薬師堂富士講碑大森駅前の池上通りを蒲田方面へ向かい、大田区立山王会館の信号を右手へ少し入ったところに薬師堂というお堂がある。ここはもと桃雲寺というお寺のあったところだが、今は廃寺となり、薬師堂と若干の境内地が残るだけとなっている。 その薬師堂のすぐ近くに、大きな富士講碑が建っている。天保三年(1832)に新井宿村の富士講中が、食行身禄(伊藤伊兵衛)という人の没後百年を記念して建てたものであるという。食行身禄は、富士講中興の祖といわれる人物である。新井宿村の富士講も指導していたのであろうか。 また、碑の左側には「天下泰平正穀成就村中安全」と刻まれており、村内安全を祈願したものであることがわかる。 碑の中央には「仙元大菩薩」と大きく書かれ、その上に雲のたなびく富士山が描かれている。また「仙元大菩薩」と書かれた左右に行衣を着た猿が描かれているのも面白い。それから、長方形の碑は亀の背中に載る形となっている。この亀には耳がある。それが不思議であった。 碑はとても大きく、目立つものである。このような碑が新井宿村の中にあったということは、村内に富士講という信仰が深く根付いていたことを示すものではないだろうか。
by ebara_explorer
| 2008-11-17 15:04
| 富士信仰
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