2007年 08月 08日 ( 1 )

岡本八幡神社

 下山稲荷神社から再び丸子川沿いへ戻り、さらに川に沿って進む。晴れて暑かったこの日、坂を上ったり下りたりしているうちにだいぶ汗をかいた。喉も渇いてきた。しかし川の周辺は静かな住宅街で、飲料の自販機もない。仕方なしに歩き続ける。ただ、川のすぐ北側が静嘉堂文庫を囲む木立になっていて、それがいくらか涼を運んでくれた。

 しばらく行くと岡本公園に出た。次の目的地はこの公園の奥にある岡本八幡神社だ。お稲荷様めぐりの後は八幡宮めぐりである。だがそこへ行く前に、とりあえず少し休むことにする。休憩するのに良い場所がある。

 公園内には民家園がある。そこには旧家が復元してある。藁葺きのがっしりした家屋であった。暑さで呆然としながらその家へ歩を進める。とにかく日差しから逃れたかった。
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 土間へ入り、汗をぬぐいながら旧家のいわれを読む。旧長崎家住宅と呼ばれるこの建物は、区内の瀬田にあったものだそうだ。18世紀末に建てられたものだという。これもまた、荏原の昔の眺めを知ることができるものである。

 説明を一通り読んでから辺りを見回していると、裏口から係りのおばさんが出てきて「こんにちは」と声をかけてきた。慌てて挨拶する。

 土間から板の間に上がり込む。暑いのに、囲炉裏の火が燃えていた。隅にはポットと急須と茶碗があった。見学者用のお茶のサービスだろうか。喉がカラカラなので思わず飛び付く。ポットには熱湯が入っていた。囲炉裏の火で沸かしたのだろうか。

 温かいお茶をいただく。熱さよりも、体に水分のしみわたっていく歓びの方が勝っていた。ホッとする。

 土間のとなりが座敷である。開け放たれた障子戸の向こうに、外の暑い景色がぼうっと広がっている。そこから、暗い室内をわたってくる風は涼しい。汗が引くまで、ただぼんやりとした。

 いくぶん生き返ったところで旧家を出る。再び暑さの中だ。家の裏手へ回ると目指す岡本八幡神社がある。白い鳥居をくぐり、石段を伝って再び斜面を上る。上り切ると、正面に小ぢんまりとした社殿があった。特に案内板もなく「八幡宮」とだけ書かれた碑が脇に建っている。石段のそばに干上がった御手洗台があって、何となく虚しい。ひっそりとした八幡神社であった。
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 特にいわれもわからないので、ただただお参りするしかなかった。予想以上に小さな社であった。それはまるで、民家園の屋敷神のようでもあった。

 帰りは脇の坂道をたどった。だらだらと下りて振り返ると、旧家と社を囲む木立は深く、それを見下ろす空が広く高く感じられた。東京の空とは思えなかった。

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by ebara_explorer | 2007-08-08 22:26 | 八幡宮めぐり