2008年 04月 24日 ( 1 )

目黒千代が池

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 荏原の「名所江戸百景」の中で、もう一ヵ所桜の時季に訪れておきたいところがあった。それは「目黒千代が池」である。先の「品川御殿やま」と同じように、桜の風景が描かれた場所である。そこは現在の目黒駅北側の台地にあたる。かつては千代が崎という地名であった。

 この「目黒千代が池」の風景は実に良い。段々になった滝が千代が池に流れ込みその周囲にひっそりと桜が咲いている。千代が池の名は、南北朝時代の武将新田義興の侍女千代に由来するとされている。千代は新田義興が正平十三年(1358)に足利基氏・畠山国清らに矢口渡で謀殺されてしまったとき、悲しみの余りこの池に身を投げてしまったという。そんな伝説もあって、この桜の名所は「品川御殿やま」と違い、何かしっとりとした感じを受ける。

 この千代が崎の辺りは、江戸時代になると、島原藩主松平主殿頭の下屋敷になったという。中でも千代が池のあるところは特に景色が良く「絶景観」と名付けられていたそうだ。また、台地の上からは西側に富士山、東側には品川の海も見えていたという。

 現在の千代が崎は、目黒駅近くの建て込んだところで、ビルやホテルや住宅が並び、もはや「絶景観」のかけらもない。それでもかつて千代が池のあったところとされる東京都教職員研修センターの敷地内には、あまり観る人もない桜が何本かひっそりと咲いていた。それがかろうじて「絶景観」の名残ではないかと思うことにした。

 東京都教職員研修センター前の道は西へ向かう下り坂になっている。かつては富士山も望めたのであろうが、今は坂下の目黒川の水面も見えないほど建物が視界を阻んでいる。

 坂を下りて道なりに目黒川沿いに進むと、田道橋に至った。この橋を挟んだ両側には川に沿って桜並木が続いていた。枝が川面にせり出したさまは、絶景観というほどではないにせよ、なかなか見事な咲きぶりであった。

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by ebara_explorer | 2008-04-24 17:17 | 名所江戸百景