小山厳島神社以前訪れた清水窪弁財天から見て、環七通りを挟んだ反対側に別の弁天様を見つけた。東急目黒線を洗足駅で下車し、線路沿いを西小山駅方面へ道なりに進むと下り坂になる。その坂下に弁天様はあった。品川区小山七丁目五番地である。 小さな池の奥に弁天様が鎮座している。比較的新しい社殿だ。軒下にある額を見ると「厳島神社」と書かれていた。水を守護する神様に間違いはないが、特に由緒書きはない。 辺りを見回すと、社殿の左手に小さな石碑を見つけた。急いで近寄って見てみると「鳥居奉納 弁天講」と書かれ、人の名前がたくさん刻んであった。いつごろのものかと思って年号を探すと、石碑の裏に「昭和五年」とあった。比較的新しい。 結局、小さな境内に由緒書きは見当たらなかったが、ここも清水窪弁財天と同じく、湧水の出るところなのだろう。地形を詳しく見ていないが、清水窪と一続きの崖線なのかもしれない。 池には鯉が泳ぎ、噴水のように水が出ていた。ここから流路が出ていたのであろうか。 周囲を見てみると、境内の南側に橋の一部を見つけた。そこには「弁天橋」と書かれていた。ここから流れが出ていたに違いないと思う。しかし、道を隔てた反対側は駐車場で、その先は民家である。 それでも何とか流路をたどろうと、小山八幡神社を参拝した後にここへ戻ってきた。弁天様は東西方向の窪みの底にある。とすると、流れは南北へ伝っていたはずである。橋が弁天様の南側にあるから、流れは南へ向かっているだろう。道を南へ歩き始める。 小山七丁目六番、九番、十番を見ながら道を南下していく。交わる道は両方向とも、こちらの道に向かって下り坂になっている。流れの方向はこちらで間違いないと思う。しかし、流路はもとより、流れの跡のような細道も見えてこない。ただ、流路と想定されるところは、心なしか新しい家が多いように思う。 小山七丁目という交差点に出た。複雑な五差路だ。交わる道の坂がなだらかになって、窪みが広がってきたように思う。しかも辺りは民家が密集している。こうなると流路の手がかりを失ってしまう。小山の弁天様が守護する水の流れ探訪は、ここで断念した。 後日、この辺りの地形図を見てみると、南西の洗足池へ向けて土地が低くなっていることがわかった。流路は環七通りを越え、東急大井町線北千束駅付近を過ぎて洗足池につながっていたのではないかと思う。あるいは途中で、先に見た清水窪弁財天からの流路に合流していたのかもしれない。流れを完全に追うことはできなかったが、湧水の源に弁天様ありという信仰の形を、また見ることができた。
by ebara_explorer
| 2007-10-22 23:16
| 水辺
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